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猫を追って — L. Lett’s Field Notes —

近所にできた菓子店の名が、「Dolce Neve(ドルチェ・ネーヴェ)」という。

菓子は可もなく不可もなく。
紅茶は、やや渋みが強い。

だが、猫の絵のカップはかわいらしく、
音もなく供されるケーキ皿の小さな匙には、星の刻印があった。

それだけのことで、三日通ってしまった。

今日もまた、焼き菓子と紅茶にすべてを持っていかれた。
記録に残すほどの“出来事”は、なかったはずだった。

けれど、帰り道。

路地の影に、白い尻尾がひらりと揺れた。

視線を追えば、細い裏道。

その奥に、潮の気配のような蒼が──静かに在った。


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